NIKKI

演劇がうろんな目で見られていること。

2020.07.16

 

このところ、「演劇」がうろんな目つきで見られていることに、少し胸を痛めています。

僕は「演劇関係者」と呼ばれる立場の人間ではないけれど、お芝居をやっている人たちともう10年近くのお付き合いがあり、これまで戯曲(演劇の台本)を何本か書かせてもらったし、自分でリーディング劇を主催したこともあったし、去年は舞台美術のイメージプランニングのお仕事もさせてもらいました。

舞台をしている人たちは、(中にはたまに社会生活的に「え、どうなのそれ?」と感じる感覚の人もいるけれど、)総じて、純粋で、ちょっと奥手で、真面目な方が多いです。とにかく「自分が演じること」には真剣だし、いい意味でも悪い意味でもこだわりを持っているし、常に自分の限界に挑戦しています(あがいている、とも言える)。でもどんなに頑張っても、その努力がお金になるのは、限られたほんのひと握りの人たちで、ほとんどの挑戦はお金になんてなりません。むしろ持ち出しです。基本、赤字です。でも、演じることが好きだからやっている。ステージを作ることが好きだからやっている。

コロナでステージを奪われた演劇人が、「演劇をさせて欲しい」「演劇の光を消してはいけない」と訴えることに対して、「今はそれどころじゃない」「身勝手」「不要不急」と断じることは、頭では理解できても、気持ちとしてはどうしてもそこに乗れません(もちろんやり方において不誠実な場合は別)。

演劇には稽古が必要で、時間をかけないといいステージは作れません。音楽は、最悪、譜面があれば、あるいは個々の楽器の練習で上演物として成立するかもしれないけれど、演劇はそうはいかない。何ヶ月もかけて稽古して作り上げないといけない。その芝居が、ステージで披露されることなく失われ、消えてしまうのは、ひどく悲しい。

今、ラジオドラマの次の収録のためのプロットを作っていて、このことをどうにか、放送中のシリーズのテーマの中で上手に落とし込めないかと頭をひねっています。作れそうな気がする。もしプロットのOKが出たら、放送は9月とまだ先だけど。