NIKKI

シロクマと澤村。

2020.09.10

 

梨木香歩 『西の魔女が死んだ』の中に、こんな台詞があります。

「その時々で決めたらどうですか。自分が楽に生きられる場所を求めたからといって後ろめたく思う必要はありませんよ。サボテンは水の中に生える必要はないし、蓮の花は空中では咲かない。シロクマがハワイより北極で生きるほうを選んだからといって、だれがシロクマを責めますか」

はじめてこの物語を読んだとき、この数行にずいぶんと勇気づけられて、以来、A4のプリンターの紙に印刷してトイレに貼っては、ときどき弱くなった自分の置かれた状況を「とりあえず認める」ために読んでいるのですが、先日家でテレビを見ていてこの言葉を思い出したのは、澤村拓一のロッテでの三者三振デビューを見たから。

巨人ファンにとっての澤村拓一は、期待が大きかっただけ、すごく憎たらしい存在。あんなに力のあるボールを投げられるのに、なんでその能力をちゃんと発揮してくれないの!?と、マウンドに上がる姿を見る度、ずっとモヤモヤというかイライラしながら、「あーまた四球で自滅か…」「1点差では出てきて欲しくないな…」とネガティブな気持ちを常に先行させていました。

巨人じゃなかったんだね。もっと気楽に、思いきって野球できるところがあったんだね。きっといままでの澤村はハワイのシロクマだったんだね、と思ったのでした。

DAZNで初戦のマウンドの全球、見直しましたが、ストレートは伸びるし、変化球はキレるし、素晴らしい。巨人のトレード戦略がけっこう話題ですが、こういうトレードはどんどんやるといいと思いました。