NIKKI

気分屋の彼と、かわいそうな彼女。

2022.06.08

 

水曜日の朝、くもり。小雨。Macにおちょくられた話です。

今朝6時。
いつものように事務所に来てMacの電源ボタンを押し、さて仕事をはじめようと起動時のパスワードを入力しかけて、おや、と思いました。ディスプレイが真っ暗なままなのです。

キーボードをカタカタ叩いてみます。でもまったく反応なし。おやおや。目の前にただ、闇。ちょっ……。

3ヶ月前の悪夢が脳裏をよぎりました。
iMacが突然ぶっ壊れ、大変な目に遭ったのです。

今使っているのは、4月末から新しく使い始めたMac Studio + Studio Display。たいへんエクスペンシブ。マシンは多少値が張ってもベストな状態で使いたい、と思って、思いきって買ったものです。まさか2ヶ月もたずに壊れるとは思いもしません。

いやいや、いくらなんでもそれはないでしょう。

まず、電源ボタンを押し損なったんだ、と思うことにしました。で、再度電源ボタンを押しました。でも、うんとも、すんとも。ディスプレイは沈黙したままです。うーん……。見ると本体のMac Studioは起動している様子。接触不良の可能性を考え、一度、ケーブルを抜き差ししました。でもだめ。

ひとまず冷蔵庫からバナナとヨーグルトと野菜ジュースを取り出し、それらを口の中に入れて、落ち着け落ち着けと自分に言い聞かせました。スマホで「mac display 映らない」と検索し、いろいろ調べました。再起動も試みました。でもやっぱり、だめ。ディスプレイ、闇。ミッドナイト。

まいった。
またか。どういうつもりだ。

Macのせいでスケジュールがガタガタになるのは嫌なので、ひとまずルーティンの支度をし、いつも通りに朝7時めがけてスタバに行きました。車を運転しながらさてどうしようと考え、出した結論は、「ひとまず今日の仕事をするために臨時の安価なディスプレイを買って、それでしばらくのあいだ乗りきろう」。

スタバで原稿仕事をして、きりのいいところで切り上げ、9時30分のオープンめがけて駅前のヨドバシカメラに駆けこみました。Studio Displayと同じ27インチ(3万円台)を買うか、ひとまわり小さい23.8インチ(1万円台)を買うかでしばし悩み、Studio Displayを修理に出せばそちらがまたメインに戻るのだからと思って、安い方を買いました。「これ、Macつないでもちゃんと映りますよね?」と店員さんに確認して。ついでに接続するためのHDMIケーブルも買いました。

10時30分。事務所に戻って、早速セッティング。

新しいディスプレイを梱包から取り出すと、HDMIケーブル、入ってました。ちっ。まあでもそんなのは些細なこと。とにかくちゃんと映ってくれればそれでいい(この段階ではまだ、ディスプレイではなく本体の故障の可能性もある。もしそうだったらすごく面倒)。

祈るような気持ちで接続し、本体の電源オン。

ジャーンというあのMacの音とともに、映りました。画質悪いけど、画面小さけど。原稿を書くのだからそんなの気にせずいこう、うん、これでオッケ!ああ、よかった!

ほっと胸をなでおろし、お茶を一服。

で、この勢いのままStudio Displayを修理に出す手続きをしてしまおうとMacのカスタマーサポートを調べて、電話でオペレーターの人といろいろ不具合のやりとりをすることを想定し、外したコードを本体につなぎ直しました。

と、そのときです。
壊れたディスプレイがパッと映ったのです。
えっ……。

え、ちょっと待って。どういうこと?
朝、映らなかったよね、君。

確認するために、一度すべての電源を落とし、再度またコードをつなぎ直して、電源オン。ジャーン。

いつもの朝の、いつも通りのStudio Displayが目の前に。
パスワードを入れて、普通に起動。

Studio Displayはきれいです。
さすが5K Retina。1万円台のディスプレイとは全然違う。

「いやー、朝はほら、まだ眠かったんすよ」

台詞を書くとしたら、そんな感じ。
なんなの、君。おふざけにならないでくださいよ。

隣で、1万円台の新しいディスプレイがぽつんと寂しそうにたたずんでいます。

「え、私ってなんだったんですか?」

台詞を書くとしたら、そんな感じ。
ごめん、君は何も悪くないんだ。悪いのはあいつなんだ。

Macよ、頼むからふざけないでくれ。
時間とお金を無駄にして(でも新しいディスプレイは返品とかせずにまた同じ現象が起こったときのための予備としてとっておくことにします)、そこからいつもの仕事モードに戻るために、ひとまず今朝の出来事をこうしてここに書き留めました。

お願いだからもうそういうのやめて。