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黄色い砂時計(公演)

黄色い砂時計(公演)

演劇(脚本) - 2011

DETAIL

2011年9月3日-4日(全3回公演)演劇製作集団あんかー・わーくす 第六回セルフプロデュース公演[湊物語シリーズ]「黄色い砂時計」脚本を担当。本作はシネウインド演劇大賞を受賞。

会場:新潟市民芸術文化会館りゅーとぴあスタジオB
演出:石附弘子
出演:佐藤任、岡英彦、まちゃ、齋藤千佳、荒木由美子、大作綾、小池匡、山本淳子、石附弘子

 

STORY

とある暑い夏の日、旧黒埼大野町に古くからある診療所の院長がひっそりとこの世を去った。通夜には、彼の娘たちが久しぶりに集まる。かつてはひとつ屋根の下で仲良く幼少期を過ごした三姉妹だったが、今ではそれぞれまったく別の人生を歩み、姉妹の交流は断絶していた。夜、弔問に訪れたのは、隣家で砂時計工房を営んでいる二代目の工場長。彼は三姉妹の母親が亡くなった日以来、この家には一度も足を踏み入れていなかった。父親と工場長の不仲は、三姉妹にとって永遠の謎だった。誤解をとくため、訥々と過去を語り出す工場長。その昔話には、三姉妹の知らない、やさしさに包まれた不思議な三角関係と、母と工場長の、砂時計の悲しい約束があった。

 

SELF LINER NOTES

「実際に存在する砂時計工房から着想して、三姉妹の物語としてお芝居にする」あんかーさんからそんな感じの依頼を受けて書いた、初長編戯曲です。5月の連休を使って三日間集中して一気に書き上げました。この作品を通して演劇ができる過程を知ることができたことはとても有意義で、自分の書いた台詞を役者さんが表現するのをこの目で見る(そしてそれが変化していく)面白さ、それによってはっきりする自分の反省点、いろいろ、芝居づくりを学ばせてもらいました。なかでも特に印象的なのが舞台に組み上げられたセットの立派さ。「舞台上に世界が作られている」状態は、それまで何度も観客としていろんな芝居を見てきて知っていたけれど、「舞台上に自分の考えた世界が作られている」という、まるで自分が神ではないかと勘違いしてしまいそうな現実を目にしたとき、感動、というか、それを通り越して非常に畏れ多いものを感じました。芝居のすべては台本に拠るのだ。だから中途半端な本じゃダメなんだ、と理解した瞬間でした。(2019.7.16)