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「ジョホールバルから遠く離れて」(『フットボールとラブソング』#18)掲載

2020.06.12

 

サッカー小説連載『フットボールとラブソング』(https://football-novels.com/)に「#18 - ジョホールバルから遠く離れて」掲載。いつかジョホールバルを書きたい、でもどんな場面で書こうかとずっと悩んでいて、結局、あのスタジアムから一番遠い場所を書くのが、サッカーというシンプルなゲームの強さ、偉大さ、影響力、をいちばん伝えられるのではないかと思いました。主人公の男の子にとって、生まれて初めての大失恋の、その渦中にあのジョホールバルの試合があった。そんな物語です。

Comment:

サッカーから勇気や感動を与えてもらうのに、サッカーに詳しい必要などないのです。そもそもサッカーが好きである必要などない。ボールを蹴って相手より一回でも多くゴールネットを揺らせばいいというシンプルなルールさえ知っていれば、誰でも夢中になれる。「ジョホールバルの歓喜」と呼ばれるあの試合は、まさにそういう試合だったと思います。ジョホールバルの現地でこの試合を見た人はものすごい体験ができたことでしょう。日本でテレビにかじりついていた僕のような普通のごく一般のサッカーファンは、ゴールが決まる度に一喜一憂し、そして岡野のゴールで感極まったはずです。でもそれだけじゃない。きっと、サッカーを普段見ないたくさんの人、サッカーどころじゃない人、むしろサッカーが嫌いな人も、あの試合を見て、胸の中で動くものを感じたはず。何かを忘れて、試合に見入ったはず。サッカーにはそれだけの力がある。暴力的と表現してもいいくらいの、人の心を動かす力と美しさがある。サッカーの感動は、きっとたくさんの人を救っている。そんなことを、今回は、せせこましい世界のどこにでもあるような恋愛話の中で書きたいと思いました。