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ガルベストン通りまで

ガルベストン通りまで

リーディング戯曲 - 2012

INTRODUCTION

個展「025 EXHIBITION Someone, somewhere」にて一夜限りで上演したリーディング劇「ガルベストン通りまで」。“記憶はいつも不完全な物語でしかない”をテーマに、あるタクシー運転手の凍死事件に関係のある7人の男女の「記憶」と「いま」を足がかりに、ひとつの父娘の関係を描く実験的なリーディング劇。

 

STORY

とある心療内科で行われているグループセラピー。参加しているひとりの女性は、恋人からのプロポーズに悩んでいることを告白する。彼女にはまだ恋人に語っていない過去があった。それは父親との関係であり、十年前、真冬の繁華街でその父親が変死した「ガルベストン通り事件」のこと…。恋人、興信所の調査員、ブライダルコーディネーター、元ノミ屋、親戚のおばちゃんなど、父と娘に関係する人々の独白で綴られていくふたりの絆の物語。

 

SELF LINER NOTES

展示の最終日に、せっかくだから会場で何か催しをしたいなと思って、お世話になっているあんかーの石附さんに相談して、リーディング劇をやってもらうことになりました。サスペンスで、群像劇で、独白もの。自分の好きな感じのものを自由に書かせてもらった作品です。人間の人生をつくっているのは記憶ですが、その記憶がでは客観的事実の積み重ねかというとそうではなくて、真実はけして事実とイコールではないというあたりのことを、ひとつの変死事件を中心にして登場人物7人の男女のダイアローグで構成しました。プロットをパズルのように組み上げて作る、完全にアテ書きをする、というふたつをやりたくて、本当に自由に、自分の思うままに作った台本です。本番前夜のリハーサルのときに、手伝いに来てくれた友達が「台本を読んで役者さんの顔を見ただけで、誰が誰の役かすぐわかりました」と言ってくれたのがとても印象に残っています。まちゃさんの新潟弁、星野さんのいかがわしさ、斎藤さんの薄気味悪さ、荒木さんの遠慮がちなところ、などなど(もちろん全部あくまで役柄の話)、配役とキャストの相性というか適合性のよしあしがすごくはっきりと見えた作品です。(2019.7.18)