NIKKI

トルシエとタンポポ。

2020.05.27

 

最近Amazonで、岩井俊二が編集したという、2002年のサッカー日本代表(トルシエジャパン)の密着ドキュメンタリー『六月の勝利の歌を忘れない』のDVD-BOXを買いました。まだ当時は、「デジタルで誰でも気軽に映像が撮れる」はしりの世代。だから映像の解像度の低さがもったいないと思うところはあるけれど、途中からそんなの気にならなくなるくらい、仕事中に見はじめて、ひたすら没頭。最後のトルコ戦後のロッカールームのシーンで不覚にも涙。真っ昼間から涙。もう三回、繰り返し観ました。

トルシエとダバディさんの組み合わせは、やはりキャラクターが濃い。ちょっと芝居がかったトルシエの言葉と、そのテンションを保ちながらきちんと伝えようとするダバディさん。ふたりに「わかってるよね?」と詰め寄られたら、わかってなくてもわかってると首を縦に振るしかない。バックライン(フラットスリー)、大変だったろうなあ…。個人的には、右サイドの明神と市川の使い分けに、そのときにやりたい試合の性格があらわれているなと感じました。

誰かひとり、ではなくて、誰の視点からでもこのチームを見ることができる、群像劇的な全体のつくりは、岩井俊二の仕事が編集だけとはいえ、やっぱり映画らしい、深みのあるつくりだなあと思います。買ってよかった。ちなみに、確かダバディさんは伊丹十三の『タンポポ』が好き。もうその情報だけで好きになっちゃう。