NIKKI

安楽椅子でグレープフルーツ・ムーン。

2020.10.17

 

土曜日は、子どもたちを連れて実家で過ごす日。

子どもの相手は母がしてくれるので、僕は昼寝をしたり、本を読んだり、買い物に出かけたりと自由に過ごせる、一週間のうちで唯一の、貴重な憩いと安息の時間です。

今日はリビングのソファで一時間ほど昼寝をしてから、昔、自分の部屋だった、二階の東向きの(今は母がアトリエに使っている)六畳の洋室へ。そこで安楽椅子にもたれて本を読みながら、トム・ウェイツを流したら、とても落ち着いたいい気分。

『Closing Time』は1973年だから、僕が生まれる7年前のアルバム。

音楽を(流行歌を)聴くようになった十代の頃からなんとなく思っていたことですが、自分がこの世に誕生する以前の歌というのは、少し、怖い。ときどき、聴いている側の自分が、歌に拒絶されているような、認められていないような、そんな感じがします。「この時代の風をしらないくせに」と。

先に生まれたものと、あとから生まれたもののギャップというのは、人と人の間だけじゃなくて、こういう関係にも生じうる。

それでも、月を見てグレープフルーツを想像する感性というのは、生まれた時代に拠るものではなく、グレープフルーツさえ存在していれば十年後も三十年後も、もしかしたら百年後も共通で。そこでも、きっと人は歌を聴いている。

普遍性、というのはそういうことなのかなと、11曲目の「Grapefruit Moon」を聴きながらふと思いました。

一日中、曇り空の土曜日。