NIKKI

スタバ記念日。

2019.06.28

 

ラジオドラマのプロットを作ったり脚本を書いたりという作業をするとき、いつも利用しているカフェがあります。新興住宅地のショッピングゾーンの一角に数年前にできた「S」と、某書店に併設されている「T」。どちらも事務所から車で10分くらいで着く大手チェーン(イニシャルにする必要なんてあるのだろうか…。スタバとタリーズです 笑)。

カフェといっても、コーヒーを飲まない人間なので、注文するのはいつも決まってお茶。Sならば、ほうじ茶ストレート。Tならば、ホットの紅茶(以前はロイヤルミルクティーでしたが、糖分を控えるため、去年、紅茶に変更)。ラジオドラマの仕事のときだけでなく、小説を書くとき、何か考えごとをしたいとき、あるいはそれらを頭の中で整理したいとき、9割がた、その2店舗のどちらかを利用しています。

カフェのレジで注文をする、という行為は実は自分にとってかなり精神的にハードルの高いことなのだけれど、最近ではさすがに慣れて、レジの前に立つと「ほうじ茶ストレートトールで」と言葉がさらさら、まさに立て板水、という感じで出てきます。店員さんの顔もだいたい覚えた。

でもそれって逆に、店員さんから自分の顔も覚えられている、ということでもあって、ときどき「ほうじ…」と言いかける前に、「いつものでいいですか」と店員さんに聞かれます。注文する前から店員さんがほうじ茶のティーバッグの入れ物に手をかけていたことも。

利用頻度の多いSでは、バックヤードやカウンターの内側で、僕について「謎のほうじ茶男」という認識がされているに違いなく、そのことが少し気になっていました。お店に行くのはほとんど平日の午前中で、しかもTシャツ一枚とか洗いざらしのシャツとかのラフな服装、そして基本的に長居(まるで自分の書斎かのように仕事に没頭しちゃう)。「あの天パのほうじ茶男、何者なんだろうね…」とか「今日は二時間半もいるんだけど…」とか「猫背がやべえ」とか、変な噂をされていないか、迷惑に思われていないか、と。もし、「また来たよ、あのほうじ茶、ククッ」とか笑われていたら恥ずかしくて、だめだ、もう行けない。だから、実はこれこれこういう仕事をしていまして、そのために利用させてもらっています、いつも長居してすみません、ありがとうございます、と自己紹介でもしといた方がいいんじゃないか、なんて思ったりしていたわけです。持ち前の自意識過剰っぷりを発揮して。

で、今日。というか今さっき。レジでいつものように注文をしようとして、店員さんから声をかけられました。

「作家さんなんですね。」

自己紹介する前に、確認されるという。「え、なんで知ってるんですか?」「知り合いのインスタを見て」「あ、そうなんですか」「頑張ってください」「ありがとうございます」そんな会話が、湯気を立てるほうじ茶のマグカップ越しに。素直にうれしかった。普通に席について普通にMac bookを開いたのだけれど、ちょっと気持ちが高揚しちゃって仕事にとりかかれそうにないので、10分前のこの話をNikkiにしてみました。今の気分を俵万智的に言うとこんな感じ。

『作家さんなんですね』と君が言ったから六月二八日はスタバ記念日

店員さん、勝手にこんなこと書かれていい迷惑ですね、すみません。本のフライヤー、帰り際に差し出したらもらってくれるかな…。