NIKKI

大人買いとスティーブ・ジョブズ主義。

2019.07.20

 

今年、気に入りのTシャツを見つけました。身幅の広いワイドなシルエットの、柄のないシンプルな半袖Tシャツ。生地の半分がヘンプで半分がオーガニックコットンで、少しザラッとした肌触りの。すとんと落ちる肩のルーズさ、首回りのしめつけのほどよい緩さ、見た目の割に頑丈な細いネック、そして駐車券やペンをさっと収納できる胸ポケットが、すこぶるいい感じの。

アウトドアショップで見つけて、あ、これいいかも、と手にとってとりあえず一枚買ってみて、家に帰って着心地を確かめてから、ネットショップで色違いを五枚、買い足しました。こういうのを「大人買い」と表現していいのかはわからないけれど、大人になってTシャツをいっぺんに何枚も買えるくらいの余裕ができた今、愛着を持って身につけることのできるものに出会ったら(そして値段がそこそこだったら)、とりあえずストックまで考えて買う、ということをしています。

服を選ぶ、というのはけっこう神経を使うものです。根っからのお洒落さんだったらその時間を楽しめるのだろうけれど、そういうタイプではないので、できれば朝、シャワーを浴びた後、サッと決めてパッと着たい。頭を使いたくない。30秒でも無駄にしたくない。だから自分のワードローブは「目の前に気に入ったものがずらっと並んでいてどれを手にとっても悩む必要がない」という状態をつくりたいのです。というわけで「今年の夏は秋口までこのスタイリングでいこう」と決めて、Tシャツを大人買いした後、今度は気に入りの半端丈のパンツを見つけ、それも五本、大人買いしました。

これで毎日、朝はTシャツとズボンの色を選ぶだけ。頭を使うのはたったの2秒で済みます。このやり方を僕は「スティーブ・ジョブズ主義」と呼んでいます。Appleの故スティーブ・ジョブズは、常に黒のタートルネックにジーンズという同じスタイルを貫いていました。何かを選び、決めるという「決断」の回数を徹底的に削減して、無駄なエネルギーの消費を抑えていたのだそうです。僕の場合はなにも、そこまで究極的なことをしたいわけではないですが、楽、で、悩まなくて済む、ということは変わりません。そしてなんだろう、自分が潔くなった感じでスッキリします。

さてそんなわけでこの夏は、上はワイドTシャツ、下は半端丈のこちらもちょっとルーズめの股上の深いコットンのズボン、足元はビルケンシュトックかニューバランスという、毎日コピーペーストのような日々。でもそれが、僕にとっては「生活のリズム」というやつなのです。「規則正しい生活習慣」というやつなのです。ちなみに今日は上はネイビー、下はベージュ。