NIKKI

競馬はきっと健康によい。

2019.07.02

 

朝からちょっとイライラすることのあった火曜の朝。月の第一火曜なので、ラジオドラマの放送日。

今回の話は、実は6年前にラジオドラマの仕事をはじめたばかりのときに一度書いた作品がベースになっています。ギャンブル好きの父親の借金を、息子が競馬で返そうとする、という話。「ラストメッセージ」のシリーズにぴったりなので、どうしてももう一度この設定でやりたくて、新しい作品としてリメイクさせてもらいました。

そんなにうまい話はない、思い通りになんていくわけがない。そう思いながら、うまくいくかもしれない可能性に賭けてしまう。射幸心を煽られているのは理解しているけれど、それでも馬券を買ってしまう。競馬の面白さはやっぱりそこにあります。馬券を買うことが日常化していくと、だんだん外れることにすら快感を覚えるようになるという、危険な遊び。なかには使っちゃいけないお金で人生を賭けて、人生をどぶに捨てる人も。

でも、ギャンブル好き=ダメな人と思われがちだけれど、競馬に限っていえば、「動物が走ってその速さを競う」という人知の及ばぬまさに運試しの競技に、あれこれ理屈をつけたり、データやロジックで結果を予測しようとしたり、確率論を持ち出したり、相馬眼で絶対的な能力の優劣を導き出したりして、実は馬券を買う人間はものすごく頭を使っているのです。競馬予想が好きな人は、仕事で使う以上に、馬券検討に脳みそを使っている。たぶん、競馬が好きな人は呆けないんじゃないかな。

自分はまだ38歳だけれど、歳をとってからの「競馬習慣」は本当にすごくいいと思う。健康にいいと思う。競馬場に足を運ぶ、というのが前提だけれど、週末、朝から夕方まで競馬場にいれば家で奥さんから煙たがられずに済むから精神的な解放感を味わえるし、パドックとスタンドと馬券売り場を繰り返し行き来すれば適度なリズム運動になって足腰も鍛えられるし、予算の上限をちゃんと決めれば100円から楽しめてしかも運がよければお金が増えるし、金銭感覚もシビアになる。熱心に予想をするから脳の活性化ができて呆けないし、細かな活字もちゃんと読む。競馬には四季があるから、季節の移り変わりもまるで歳時記を身体で感じるように楽しめる。そう、今日みたいにイライラする朝でも、競馬で散財してストレス解消、なんてこともできる(勝てば些細なイライラなんて完全に吹っ飛んで、配当によってはものすごい博愛主義者になれるときもある)。

ところでもうすぐ京都競馬場の改修がはじまるらしいけれど、競馬場はどんどん清潔に、使いやすく、遊びやすく、(そしてできればイスの数が増えてどこでも座れるように、美味しくてヘルシーな食べ物が楽しめるように)なって欲しいと思います。30年後、人間関係は大きく変わっているかもしれないけれど、たぶん、競馬を楽しむスタンスはまったく変わっていないような気がする。