NIKKI

きっと一生、お新香の小皿を手に。

2021.11.28

 

週末、法事。祖母の一周忌。それから親戚で集まって温泉。一泊。

法事があるたびに思うけれど、やっぱりこういう行事というのは、生きている人のためにあるもの。みんなで集って、お寺でお経を聞いて、それぞれの子どもたちが大きくなっていくのを確かめ合って。ほんの小一時間、そうやって顔を合わせる時間の貴重さと尊さを考えずにはいられません。

コロナ禍で、毎年恒例だった親戚旅行もできなくなりました。前に行ったのは、まだ祖母が元気だったとき。親戚で旅行をすると、漬けものがあまり好きではない僕は、旅館の夕飯のお膳に並ぶお新香の小皿を「おばあちゃん、これあげる」と祖母に献上して、「あんた食べねんならもらうて。まーちゃんは漬けものがだめらんね」と子どものときからずっと笑われてきたのだけれど、今回は、あげる相手がいない。小皿を持ち上げてから、あ、おばあちゃんもういないんだ、と気づく。一年経って、新鮮なさびしさがこみ上げてきました。

今度からお新香は、6つ下の従弟が引き受けてくれることになりました。こうやって、いつもいつも、お新香の小皿に触れるたびに、祖母のことを思い出し続けるのでしょう。きっと、自分が死ぬまで。

ぼりぼり、ぼりぼり、おばあちゃんが漬けものを噛んでいます。